令和元年度の必須科目Ⅰと選択科目Ⅲを比較してみました。
問われているテーマへの回答レベルの違いがあります。
そのため、問題によって解答すべき技術の広さと深さには「差」があります。
[出題内容]
必須科目Ⅰ:現代社会が抱えている様々な問題について,「技術部門」全般に関わる基礎的なエンジニアリング問題としての観点から,多面的に課題を抽出して,その解決方法を提示し遂行していくための提案を問う。
選択科目Ⅲ:社会的なニーズや技術の進歩に伴う様々な状況において生じているエンジニアリング問題を対象として,「選択科目」に関わる観点から課題の抽出を行い,多様な視点からの分析によって問題解決のための手法を提示して,その遂行方策について提示できるかを問う。
解決策については、「技術部門」全般 と 「選択科目」 の違いはあるものの、試験官が求めているものは、ほぼ同じです。
ただし、定義が異なります。
1つ目は、テーマのレベルです。
必須科目Ⅰ:社会問題→部門のエンジニアリング問題への置き換え
選択科目Ⅲ:ニーズ・技術進歩→科目のエンジニアリング問題へ発展
2つ目は、回答レベルです。
提案:自分の考えや意見を述べる(方向性、伺うイメージ)
提示:相手に伝えたい物事を取出して指し示すこと、人に理解させること(はっきり示す)
必須科目Ⅰの場合、
課題解決方法を提示
解決策遂行のための提案(意見や考えを提出すること。議案を出すこと)
選択科目Ⅲの場合、
問題解決のための手法を提示
遂行方策について提示(相手に分からせるように差し出して見せること)
つまり、選択科目Ⅲには専門レベルが高い問題解決能力が望まれます。
では、狙いはなにか?を想定するとわかりやすいです。
①試験官は、「技術と社会の連動性についての認識」を見ています。
技術士法第一条にある「科学技術の向上と国民経済の発展に資すること」を技術士の目的としています。
その目的にあった技術士にふさわしい人材を選定するための試験なのです。
社会の求めていること、社会が技術に求めていることを連動させて、「自分なら」を論理的に述べられる人材を求めています。
だから、回答レベルは2つあるのです。
②技術士(コンサルタント)として必要な「問題解決能力」「課題遂行能力」を持っているか見ている。
業務上の難題について、「解決ポイント」を見つける能力のことです。
複合問題が現状あり、それを目的や理想に近づけるために何が問題で課題は何か?を設定し、
必須科目では「提案」
選択科目では「提示」さらに、遂行も「提示」すること。
で問題解決と課題遂行を見ています。
③技術士(コンサルタント)として、「物事を筋道立てて考え、説明する能力」である論理的考察力を見ている。
技術士は、技術の道しるべになる人材です。その道しるべとなる人材には、コミュニケーション能力が欠かせません。
それが、論理的考察力が必要な理由です。
回答レベルを意識して、1800文字を有効に使いましょう!